4時に起床。
電気を付けようと試みるが、停電のようで真っ暗なまま。
でも大丈夫。
停電は想定内でパッキングは済んでるし、懐中電灯も枕元。
4時20分ころに宿を出る。
街灯なんてない。
半月と星明かりの下、てくてく歩く。
影になると全く見えないので懐中電灯を点灯。
ホントに人が全くいないレーの街をバスターミナルに向かって歩く。
聞こえてくるのは、遠くの犬と牛の鳴き声のみ。
メインバザールのあたりで、性別は分からないが三人の人影が。
ホッとする。
同じバスに乗る人かな?
が、
しばらくしたら路地に消えた。
4時40分ころ、バスターミナル到着。
明かりはない。多分元々。
人影もない。エンジンとかの音もない。
・・・・マジ???
とてつもない不安。
4時半に来いって言ったのに。
月と星の明かりしかない中、とにかく待つことにする。
5時ちょっと前になって、小型ワゴンが入ってきた。
一台のバスの前に止まる。
人が降りてきて、荷物をバスに積み始めた。
そのバスのほうに行ってみる。
乗客らしき人、そしてバス乗務員らしくバスの中で何かしてる人。
バスの中の人に、「カルギル?」って聞いてみると、否定する訳でもなさそうな反応。
昨日紹介されたコンダクターだろうか。
真っ暗なのでわからない。
乗客らしき人は4、5人。
これで出発するのだろうか?
これも不安。ある程度の客、荷物が集まらないと出発しないなんてよくある話だし。
しかし、
5時10分くらい出発。
意外。
バスターミナル出たところで3人乗ってきた。
このまま街を回って、客を拾うのかな?
でも、だれもいそうにないしな。
しかし、
この疑念はすぐに晴れる。
バスは街を出て、西に向かい始めた。
外はまだ暗いが、うっすらヒマラヤの稜線が見え始めてきている。
そして寒い。
標高3500m。
バスの窓もガタガタですきま風がすごい。
丸くなりながらうとうと。
まあ、あまりの寒さにほとんど寝れなかったけど。
コンダクターがバス料金の徴収に来た。
紙切れの出番だ。
紙切れを握りしめる。
コンダクター、ボクのところへ。
チラッとボクを見て、首を横にかしげる。
インド人のイエスとかオーケーのサイン。
紙切れの出番はなかったが一安心。
だんだん外は明るくなってくる。
インダス川沿いを走る。
多少道はうねっているが、結構なスピードで走っている。
これなら昼前に着くかな?と考えていたが、
1時間もすると本格的な山道。
道も悪くなってきた。
鉄砲水で流れたのであろう道や仮設の橋を通り過ぎていく。
年数経ってそうな仮設の橋もあったから、それだけではなさそうだけど。
9時頃、カルシの街で休憩。
他の乗客と、軽く食事(オムレツ、ロティ、チャイ)。
30分くらい休憩した後に出発。
カルシの街を出てすぐにチェックポイント。
バスのコンダクターが事務所に連れていってくれる。
外国人であるボクだけ。
「パスポート」と彼が促すので、パスポートを出すと、
「ジャパン・・・」と彼はつぶやき、ボクの顔をまじまじと見る。
んー
ネパール人とでも思ってたんだろうな。
乗客のひとりに、なんでカシミールに行くんだ?と聞かれる。
カシミールには行かない。ムルベクで降りる。と伝えると、なるほどといった表情。
前の日記にも書いたけど、カシミールはここ数年の中で最も不安定な状態。って、帰ってきてからその情報もチェックしなくなりましたが。
谷間の底の方をバスは進む。
峠を越える道との分岐でバスは止められた。
運転手と警備員みたいな人が話してる。
バスは直進したいのだが、侵入を拒まれてる様子。
崖崩れでもあったのか。
わからないけど、バスは右折して峠越えの道に進む。
その峠道 |
舗装されてない箇所が多数あるつづら折りの道をバスは進む。
対向からトラックも時々来る。
ぎりぎりの道幅。
ゆーっくりとすれ違う。
この調子じゃ、到着は何時になることやら。
とはいっても、
13時前にムルベクに到着。
磨崖仏の前で下ろしてくれた。
ガイドブックでは磨崖仏の前にゲストハウスが二つ。1kmくらいレー寄りに政府のツーリストバンガロー。
磨崖仏前のゲストハウスが都合がいいに決まってる。
そのゲストハウスに向かう。
商店も併設しているようだ。
そこの人に「部屋はある?」と聞いてみる。
「ノールーム」
ん?
もうひとつのゲストハウスにも行ってみる。
「クローズ。あっちにツーリストバンガローがある」と、とてもつれない答え。
ツーリストバンガロー、
バスの中から見たけど、とても営業中には見えない。
しかし、そのゲストハウスというか商店の人たち、全く素知らぬ顔をして泊めてあげようって雰囲気皆無。
仕方ないので、ツーリストバンガローに向かって1kmほど戻る。
ツーリストバンガロー、
案の定、門は施錠されてる。
困った。
ちょっと途方に暮れかける。
どうするか考えてると、近所の人がやってきて、ここはクローズだと。
うん、そうだね。
あっちにゲストハウスがあるよと、ボクが来た方を指差すけど、まあ、ねぇ。。。
選択肢は3つ。
ここで寝る場所がないのは確定。
案1、民泊を頼む。
案2、次の目的地ラマユルに向かってしまう。しかしもう公共機関はない。
案3、カルギルという大きな街に向かう。ガイドブックによれば一日数便のバスがあるらしい。
今は13時過ぎ。
早く動かないと、野宿するはめになりかねない。
磨崖仏を見ている場合ではない。
とりあえず、さらに4kmほど戻ったワカという集落に向かうことにする。
ムルベクより大きいみたいだし。
10数キロの荷物と不安を背負って歩く。
バス、タクシーなんてないので歩く。
まだ高所に適応出来ている訳ではないので非常にキツい。
こんなところをてくてくと。
動画を撮る余裕はあった模様。
ワカに向かう途中にあったカラフルチョルテン |
ワカの集落に着いた。
商店のオヤジさんが「どこに行くんだ?ラマユルか?」と聞いてきた。
ラマユル?
何も言ってないのにラマユルの名前が出てきたことに驚いた。
ちょっと期待する。
「今日、ラマユルに行けるのですか?」
「ノー、明日の朝だね」
・・・・すげえ期待したのに。
「じゃあ、カルギルに行けますか?」
「今からか?」
「はい」
「ラマユルに行くんだろう?」
「はい」
「それならムルベクのホテルに泊まって、明日の朝向かったほうがいい」
「全てのムルベクのホテルはクローズしてます」
「ああ、シーズン終わってるしね。それなら、この山の上に僧院がある。そこに行ってみるといい。ノーマネーだ。」
おお。オヤジさんに謝意を伝えて、僧院に向かうことにする。
途中、尼僧とすれ違う。
山の方を指差し、「モナストリー?」と聞いてみると「イエス」と。
山に登ってみると(山といっても数10m程度)、建物がいくつかある。
どれが僧院かわからない。
聞ける人もいない。
どの門も閉まってる。
困った。
疲れちゃったし、なんかここにいるのもイヤになってる。
ヒッチでもなんでもいいから、カルギルに向かっちゃおう。
山を下りると、
さっきの尼僧に会った。
「どうしたの?」
「カルギルに向かいます」
「なんで?ラマユルに行くんでしょう?泊まって行きなさい」
ワカでオヤジさんから話を聞いたみたい。
彼女について行く。
「なんで、カルギルに向かうの?」
「どれが僧院かわからなかったから」
正直に答える。
まあ、笑われましたわ。
ここまで考えもしなかったけど、彼女は尼僧。
僧院で男女が同じ屋根の下で修行するものではない。
そう、そこは尼僧院。
彼女から説明されるまで気づかなかった。
ある建物の門をくぐる。
彼女、尼僧上とでも言うのでしょうか、年配の尼僧と話をしている。
なんか長い。
尼僧院に男が泊まれるのか?ここに来て拒絶されるとか。
またもや不安がむくむくと。
しばらく話した後、ボクのところに戻り、こっちよと奥に連れていかれる。
ベッドが3つ並んだ部屋に通される。
巡礼者用のベッドらしい。
「あなたのためのスペシャルルームよ」。
トイレにも案内される。
扉がふたつある。
一方の扉に大きく「GENTS」。
男性も泊まれるのね。いろいろ杞憂に終わった模様。
昼食をいただいて、
観光に向かう。
また4km歩いて、先ほどの磨崖仏を見て、
さらに1km歩いてゴンパ(僧院)やモスクを見学。
岩山を登れば王宮や古いゴンパがあるとのことだが、もはやその体力は残っておらず、戻ることに。
ムルベクの岩山 |
戻りは5kmほど。
尼僧院のある山の手前で一服。
僧院内で吸う訳にもいかないので、朝までもう吸えない。
夕食もいただいて、
毛布と寝袋も持ってきていただいて就寝。
20時にもなってなかったけどすぐに寝れた。
とにかく歩いた一日、なのでした。
ラダックの話その5へ続く。
このあたりのお話。
赤が尼僧院、左から二番目の青マーカーのところでバスを降りました。
この間、すべて歩きです。
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